大変だ!
今日は3月21日だ!
なんで大変なの?ってそれは私が中国にきて今日で丁度1ヶ月だからである。
大変だ!
1ヶ月前、飛行機の乗り継ぎで間違えかけたり、偽物ガイドにさらわれかけたりどうなるんだろ…って人生最大の勇気を振り絞って中国に乗り込んでからもう1ヶ月ですよ。
時間経つのが早すぎてびっくりしてるところ。
思えば、毎日大事件ばかりで退屈する日がなかったから、時間が経ってることにも気がつかなかったんだと思う。
中国人の同居人できたり、隣の韓国人夫妻と揉めたり、ボスにわけわからん仕事を大量に丸投げされたり、色々と悩みが尽きない今日この頃。
その中でも私を消耗させてるのが、七月から日本に留学する子たちのクラス。
毎日3時間彼らに授業をしなければならない。
彼ら、7月から日本に留学するのに、
あいうえおを知らない!
これに関しては私は本当に思うこと2つある。
私自身は留学する、したいなら最善を尽くして事前学習をするべきだと考えている。
だから、私は中国語学科でもなんでもないけど、中国での生活を成功させるために自分で一生懸命HSK6級までとってここに乗り込んできた。
それでも日々中国語が通じない、わからないで泣き喚いてるのに、この子たちは何をやってるんだ…って感じだ。
だいたい、基礎的なことを留学先でやること自体勿体無いではないか。
私の中国語も大概ひどいけど、ここで中国人相手に最低限の会話ができるだけの基礎を詰め込んできたから中国にきてから会話練習から始められたし、中国でしかできないことがたくさんできてる。
初歩的な文法や日常会話程度のものは留学前に身につけるべきものであって留学先でやることではない、
という持論を持つ私にとって彼らの、日本に留学したいのに全く自学してこなかった姿勢自体あまり好きになれなかった。
更に、彼らの出自がここ棗庄ではかなりの富裕層であることも気にくわないのである。
私が今働いてる大学はとにかく学生間の貧富の差が大きくて、
日本語を勉強してすごく流暢に話すのに金銭面で留学を諦めたという人もいると聞く。
それなのに、親がお金持ちというだけで、まだなんの努力もしてなくて、私という家庭教師みたいなものまで雇って3ヶ月ちょいちょい勉強して留学するって、それって…それって…などと遣る瀬無い気持ちをふつふつ募らせてたんだけど、
個人的な感情を無しにして授業をするのがここで与えられた私の仕事最前は尽くさなければならない。
口を開いて、あー!いー!うー!って1週間ほどなれない中国語を使いながらも授業してたんだけど、ちょうど今日五十音が終わったのである。
ひらがなだけやってても飽きそうだから、ひらがなでカルタを作ってゲーム感覚で遊んでもらったり、簡単な発音クイズを考えたり楽しんでもらえるように色々考えた。
ひらがなはつまらないのが当たり前なのだ。
でもそのつまらんひらがなを覚えない限りはその先の文法も楽しみもありえない。
というわけで、この1週間毎日3時間、アホみたいにスパルタに鍛え上げたおかげで彼らは平仮名が読み書きできるようになり聞き分けられるようになったのである。
これは流石に感動してしまった。
ひらがなが読めるのが嬉しいのか私のノートを覗き込んでひらがなだけ抜き出して読んでるのをみているとこちらまでなんか嬉しくなってしまった。
そうこうしてるうちに、最初はマイナスな感情さえ抱いていた彼らともどんどん打ち解けて、
せっかく日本に興味を持ってくれて留学したい子達なのに、自分で変な壁を作って、レッテルを貼って、悪いことしたなあと反省した。
同じ22歳なのに、先生、先生と私のことを慕ってくれる二人の男子生徒と19歳の同居人の女子生徒の3人は私のことを本当に大事にしてくれて、
私が韓国人夫婦ともめて落ち込んでる時、ご飯を食べに連れて行ってくれた。
これがなかなかすごかった。
こんな露店で、
八宝粥という甘いおかゆを食べたり、
こんなみせで、
道路においてあるテーブルで、
ザリガニ食べたり。
羊の焼肉たべたり。
彼らは私がへったくそな中国語でした
「高いものとか上等なものじゃなくて現地の人が食べてるみたいなローカルなところに連れて行って!」という要求を素直に叶えてくれた。
出てくる料理は一つ一つの食べ方も教えてくれた。
もちろん彼らは中国語しか話せないけど、私がわかるまで一生懸命説明してくれて、途中で諦めずに付き合ってくれてすごくありがたいなあと思っている。
最初の授業では、
你好と再见だったのが、こんにちはとさようならになった。
すごく早いペースで進んでるけど一生懸命勉強してついてきてくれていると思う。
最初はなんとなく、斜に構えてた私ももうすっかりどっしりと正面衝突するつもりで向き合っている。
こんなはずじゃなかった。
という気持ちはある。
もともと私は日本語教師の手伝いとしてこの大学にインターンにきたのに、がっつりひとクラス持たされて、彼らを日本語の試験に通さなければならない。
勿論免許はないから正課の授業は持てないけど、補修クラスという名前だけでやってることは正課と全く同じことである。
いきなり先生になってしまって一人で学生相手に何かを教えるということにつまづいてる時なんで自分はこんなことやってんだって気分になることもある。
授業だけじゃなくてクレームの処理やら大学側との教室の交渉までやらされて、自分の勉強の時間は全然足りてないし、なんなら時間が取れても精神的に疲れ果てて勉強どころではない。
日本人留学生が一人もいないこの大学で、飛び交う中国語を聴きながら歩いていると不意に日本に帰りたくなって涙が溢れてくることもある。
でも、私はここにいてここでやることをやらないといけない、とおもってどっしり構えてやるしかないのである。
語学留学にしておけば、こんな苦労しなくてよかったのに!と思うことは星の数ほどある。
面倒な授業準備はしなくていいし、トラブルやクレームは今よりはるかに少ないだろうし、自由に勉強もたくさんできたような気がする。
だけど、中国人の友達が一気に100人以上できて、朝から晩まで中国人を相手にして宿舎に帰りつけば中国人のルームメイトが待ち構えていて中国語でおしゃべりを始めるこの環境は大変だけどすごく価値のあるものだし得難いものだなあ、と思う。
ボスはめちゃくちゃだけど、最高の環境を用意してくれたしね。
いいひとだなあ…多分。
そんなことぼんやり思ってたら、今日北京にいるボスから電話かかってきた。
「土山さーん、会社のオープンが早まって来月からになりましたー。働いてくださーい。」
前言撤回だ!
なんだそれは!
あんた二ヶ月後っていったやんけ!
ぶん殴ってやる!
ボスは相変わらずでとんでもないことを平気で投げつけてくる。
まだボスに出会って2週間しか経ってないのに、ボスが私に投げつけた無茶振りや丸投げした仕事を思うと、これからの8ヶ月が怖すぎて本当にやってらんない。
とにかく早めに中国語を。
だって、中国語ができた絶対楽しい。
私に中国語ができたならどんな仕事を丸投げしてくるんだろうって、。
とにかく、目の前にあることから。
大事な仲間であり生徒であり、私の中国語の先生でもある彼らの日本留学がすこしでもいいものになるように、彼らの脳みそに唇に、日本語を叩き込んでいくことこそ今私がやるべきことなんだろうなあ。それともちろん中国語の勉強。
私の3人の生徒は、日本の神戸と大阪にそれぞれ留学するらしい。
なんだそれは!
それなら彼らと私は繋がってられるね。
日本に帰っても会ったりご飯食べたりできるね。
7月になって彼らが日本に行って私が先生じゃなくなったら、一生物の友達になれるかも!
いや、なりたいね!
彼らに対して当初グダグダ思ってたことの全てがどうでもいいのである。
いいじゃないか、日本語初心者でも。日本に興味を持って好きになって留学にいきたいという人間を一番大事に思って応援しなきゃいけないのは日本人の私だよね。
留学に対する私の考えは私の考え。
私が実行していけばいいこと。
彼らがそうでないからといって攻める理由にも咎めることも正しくない。
彼らがどういう経緯で留学するかもどういう生まれなのかも私がグダグダいっていいことではない。
来週からは50人のクラスの授業が始まる。
毎日毎日限界を超えてる。
次の1ヶ月はどうなるのかすごく楽しみだし恐ろしくもある、そんな心境を吐露して今日はおしまい。