紋浪ちゃんの覚え書き

気になることとか拙い和訳とか

愉快な三人組と私

 

 晚上好。

私です。紋浪です。

 

ちょっと前こんな記事を書いたでしょ?

 

今、ここ棗庄での一番大きな私の仕事はこの三人に日本語を教えること。

 

三人のうち一人が同居人でもう二人が男の子。

 

同居人は19歳で、二人の男の子は去年大学を卒業した22歳で私と同じ歳。

 

背が高くて声が大きくてよく笑いよく騒ぐこの三人組は日本人が思う中国人の姿そのままな感じ。

 

さてさて、この三人に対する当初の私が抱いていた印象はすごく悪かったんだけど、最近はその時のことを土下座して謝りたいくらいにこの三人が私は大好きである。

 

で、今日はこの三人の話をしようと思う。

私は三人の名前を日本語読みにして勝手によんでる。

 

同居人曰く南方の血が濃いらしい、背の高くて色の黒い張くん

それから立派な眉毛にモンゴル系の顔立ちの殷くん

そして私の同居人の回族劉ちゃんの三人。

 

彼ら三人をとっても中国は多民族国家なんだなあ、という実感がつくづく湧いてくる。

ちなみに、回族といえば北京にいたころお世話になっていた家も回族だった。

 

 

北京のホームステイ先の家族は敬虔なムスリムで絶対豚肉は口にしなかったり戒律を守っていたけど、同居人は平気で食べる。

これについて不思議に思って聞いたら、信仰を守ってる回族もいればそうでない人もいるらしい。そして現代では守ってない人の方が多いという。

同じ民族でも意識に大きな差があるんだなあ、と思ったし同居人から聞く中国の話はいつも面白くてためになるからノートを取りながら聞いたりする。

 

 お嬢様末っ子のわがままフルコンボを決めてる同居人、劉ちゃんは男子二人を顎で使っていて見ていて気持ちがいいくらいお姫様っぷり。

 

 で、これにこの二人も大人しく従ってて不思議に思ってたら、彼女の兄が男子二人の同級生らしく、この三人組は幼馴染らしい。

 それで最初からこんなに仲良くて打ち解けていたのか。

 

 幼馴染で男二人に女一人ならば…と頭の中が少女漫画な私は下世話なことを考えたけど、

劉ちゃんにはラブラブ彼氏がいるんだよね。

 男子ふたりは彼女がいない。

頑張って欲しいと思う。

 

で、授業をしてると三人ともそれぞれでこれがまた面白い。

 

  少しカッコつけたがりの殷くんは毎回予習復習もバッチリで一番がんばってるけど、悲しいかな理解力と勘の良さはいじられキャラ張くんの方が上手。

 でも、この張くん教えた時はかなり理解も良くて本人曰く勉強してるらしいのに、毎回やってる小テストの単語の成績がすこぶる悪い。

 

 こいつ絶対勉強してないな…!

 

と思って、劉ちゃん殷くんに聞いてみたら、案の定、

彼はいつも家に帰ってすぐ寝て起きてきて夜遅くまでゲームやってるよ!

と教えてくれた。

 

彼らの話では、張くんはいつも11時に私の授業が終わると宿舎に帰ってネンネして、夕方起きてきてご飯食べてゲームして、2、3時間寝て朝8時からの私の授業に出てきてるらしい。

昼夜逆転か…。よくないなあ。と思いながら、話をさらに聞いてると、

彼は高校入試まではすこぶる成績も良くて優等生だったんだけど、高校でネットゲームを覚えてしまって成績が地の底へ落ちてしまったらしい。大学時代もゲームに狂っていたとのこと。

 

うーん。思ったより根が深いぞ!

 

そして、よくこれだけのことを聞き取ったな私は。

褒めてあげたい。

なんか中国語できないって嘆いてる割に頑張ってるじゃん私。やるじゃん。

ちなみにこの三人は日本語どころか英語も無理だから(私も無理だけどね)会話は中国語オンリー。

 

 彼らはボスに言われて、私のために方言を封印して、標準語で話してくれてる。

そして、これもボスが言ったらしいんだけど外国人に話すのではなく普通の中国人に話すときと同じように話せとも言われてるらしい。

 この三人無くして私の中国語の練習も上達もなかったと思うから本当にボスにもこの三人にも感謝している。

 

ま、それはまた今度書くことにして。

 

彼は今もゲームやってるの?

 

と聞いてみると、

 

先生電撃家庭訪問してくださいよ!

 

といたずらを持ちかけてきたから乗ってみることにした。

 

そういうわけで抜き足差し足で彼の宿舎まで出かけていくとドア越しに聞こえてくるゲームの音と彼の声。

 

こりゃ相当白熱してるな…

 

劉ちゃん殷くんが盛り上がっている。

なんか私も楽しくなってきて、

 

じゃあ、いくよ?いくよ?

 

とドアを開けて、

 

你好〜!

 

とやると、くりくりした大きな目をさらに大きく見開いて驚いた顔をした張くんは、

 

びっくりしすぎて椅子から落ちた。

 

なんで、先生がここにいるんだよー!と情けない声で二人をなじる張くん

 

あれれ、ゲームはしてないって?言ってなかったっけ…?

 

とすっとぼけて聞いてみると、

 

さっき始めたさっき!

 

というけど、殷くん

本日のプレイ時間3時間

 

と書いてあるディスプレイを指差してさっさとばれた!

 

この三人の怒涛のやりとりから、私は今日

 

陰謀、罠、嘘つき、信じてよー!、さっき始めたんだもん!、などという言葉を覚えた。

ありがとう、張くん

 

劉ちゃんが椅子から落ちた張くんをやれやれとばかりに起こしながら、

殷くんは単語を覚えるのがすごく得意で、は文法が好きなの。だから二人でおしえあうけど私たちが教えあってる横でだいたいこれはゲームしてるんだよ!」

 

というから、

「文法と単語どっちが好き?」

と聞いてみると、

勉強嫌い〜と情けなくも正直に言うから、なんかおかしくて笑ってしまった。

 

正直な張くんはご褒美に私とふたりで家庭訪問授業が決定しました。

がんばろうね!!!!

 

でも、こんなにふざけてるけどこの三人は当初から考えると信じられないほど頑張ってくれてると思う。

 

だって3月からあいうえおを始めて、今は簡単な会話の練習もできるようになったんだもん。

 

毎日3時間授業があるとはいえ三人とも家でよく復習してくれてるんだなあと思う。

張くんのルームメイトでもある殷くんは彼をパソコンから引き剥がして勉強させて、朝には叩き起こして私のうちに引きずってくるわけだから本当に偉いと思う。

 

そして、三人ともすごく優しい。

中国語がわからないけどできるようになりたい私にちゃんと、

「外国人に話すようにゆっくり話すか、私たちで中国人の日常的な速さになれる練習をするか?」

と選ばせるという配慮をしてくれたし、

たくさんの中国の面白い伝統や社会問題、若者の抱えるストレス、そしてこっそり日本の性風俗について聞いてきたり、いろんな話をしてくれる。

 

 この3人は10月から日本に留学することが決まってるんだけど、彼らと過ごす残り5ヶ月を大切にたくさん彼らに学び、彼らの留学が良くなるようにがんばろう、と今は思ってる。

 

そして、留学といえば今まさに留学真っ最中の私のことといえば、

3月にかわしたボスとの約束。

 

3ヶ月、待ってください。中国語なんとかしますから。

 

約束まであと2ヶ月。

なんとかしなければいけない。

このままだとダメだ。

毎日毎日自分を責めてる。

なんとかしなきゃ、しっかりしなきゃ。

 

とにかく明日から少しずつ寂しさを紛らわすために見てた日本語の音楽やテレビ、そして日本人の友人と微信やLINEを遠ざけてもっともっとどっぷり中国語に浸かり込んでいこう。

 

このままの生活ならきっとこの中国での毎日に後悔してしまうから悔いの残らないようにしっかりがんばろうと思って今日はおしまい。