頑張れ倫子さん!
どーもどーも。
ここに来た当初食べれなかった激辛ラーメンを何の気なしに今日食べたら辛くもなんともないと感じるようになった私です。紋浪です。
みんな最近どう?
呼吸してる?
さてさて、今日は先輩の日本語教師の倫子さんの試験の手伝いに行ってきた。
まあ前回も別の試験を手伝ったんだけど、この前回の試験はカンニングやら不正がとにかくひどかった。
前回の試験の様子はこっちを見てくれ。
で、今回はとにかく前回の経験を活かして、
不正根絶!ダメ!ゼッタイ!
を胸に試験会場に向かった。
今回は試験を受ける人数が80人以上いて、前回の2倍ということで、私と倫子さん2人だけではカバーしきれないぞ!ってんで。
旅行学部から1人先生が手伝いに来ることになっていた。
でも、前日に倫子さんの家に行ったら、
「いやー、なんかさー。先生いないらしくて三年生の学生が来ることになったらしいんだよね。」
っと倫子さんが呆然とつぶやいていた。
私は、その三年生の学生がイケメンで好青年ならいいなあ。
んで、試験監督終わったら微信を交換して毎晩やりとりしてどうにかなっちゃえたら儲けもんだな!
などとのんきなことを考えていたんだけど、
これが甘かった。
私と倫子さんが試験会場に向かってると、倫子さんの学生の尹(イン)くんが現れた!
倫子さんはこの学生を愛情をこめて「バカ」と呼んでいる。
なんでかというと、本当にバカだからである。
彼は旅行学部の二年生の班長でありながら、日本語は全く出来なくて、倫子さんと彼の共通言語はジェスチャー。
私がまだ棗庄に来たばかりの頃、倫子さんの試験の結果が悪かった彼は倫子さんの家にやって来て、試験の点数を上げてくれ。このままじゃ共産党に入れないんだー!
と泣きつき、2時間粘ったというツワモノである。
お調子者でものすごく立派なことを言う割に中身が全く伴っていなくて、適当なことばかりを言ってるから、クラスメイトたちからも「インカキン!!!」と怒鳴りつけられているのをよく見かける。
まあそんなことはどうでもいいのだ。
「よお!バカ!」
と元気に呼びかける倫子さん。
おいおい大丈夫か…流石にそれは…と思って見てたら
「あ!せんせいこんにちは!!!」
と天真爛漫に笑顔で挨拶する尹くん。
「どこいくの?」
と、私が聞くと、
「今天我们的学院让我帮你们的考试.......」
(僕が今日あなたたちの試験のお手伝いをします!)
といきなりの中国語。
それを聞いた瞬間の倫子さんは、見るも哀れ聞くも哀れ。
この世の終わりのような表情をして、
「なんでこいつなんだー!旅行学部はどうなってんだ!ありえねーーーー!」
と絶叫した。
私は私で心底驚いた。
だって…
「だって、こいつ前回の試験のカンニング王だぞ!どうすんだ!」
カンニング王!インカキン!
一瞬これを思い出した。
そう。尹くんは前回私が手伝った試験のクラスの生徒で散々私に不正を注意された学生。
倫子さんが取り乱している横で、日本語が全くわからないカンニング王、尹くんはニコニコと顔におだやかな微笑をたたえている。
「まあいいや。この男はね、自分のこと棚に上げて人に厳しくできる男だからな」
と倫子さんは訳のわからんことを言いながら自分を励まし、立ち直って3人で試験会場へ。
しかし試験会場に着いたらついたで、
学生と学生はくっついて座ってるし、
(本来は席を一つずつ開けて座らなければならない。カンニングを防ぐためである。)
好きなところに座ってるし、
(本来は試験の進行のために名簿順に座らなければならない)
これを注意して本来座るべきところに座らせたら、次は荷物を前に全部出させなければならない。
それが終わったら各々の机を回って不正に使うものがないかどうかを調べるんだけど、
なぜか大量の学生が謎の紙を試験に持ち込んでいた。
何か書いてる紙も書いてない紙もあったけどすべて没収。
集まった紙の量に早くも倫子さんも私もげんなり。
日本語科の優秀な学生きょうちゃんを呼んで彼女の力を借りながら試験開始。
今日の試験はリスニング。
今回の試験問題は倫子さん完全オリジナル。
声の吹き込みには私も倫子さんもそしてなぜか棗庄の工場で働いてる駐在員のお兄さんたちも参加した。
これが流れると言うことで、試験監督は結構楽しみだったんだけど、
これが楽しんでる場合じゃないくらい過酷であった。
試験が始まって、とにかく教室を回遊魚のようにぐるぐる回るんだけど、最初は前回の試験と違ってみんな態度いいなあ。
などとのんきなことを思ってたんだけど、徐々に気づく。
不審な動きをしてる学生がちらほらいることを。
そして、初っ端からスマホで何やらコソコソやってる学生を見つけた。
走っていってスマホを取り上げると、彼は試験会場から出ていってしまった。
この試験会場、やばいぞ。
上手いこと言えないけど前回とはまた違う異様さがある。
さてさて試験も中盤に差し掛かるころ、
試験会場に異変が…
というよりも、尹くんに異変が…!
「つかれた!」
といって椅子にすわりこむ。
てめえはなんのために来やがったんだ!こんちきしょう!
私がそうおもって居たのと同時に、
「こら!休むな!ぐるぐる回れ!!!」
と倫子さんのゲキが飛ぶ。
そしたら今度は、なにやら試験を受けてる学生に話しかけている。
尹くんの日本語の成績的じゃ絶対教えられないだろうから不正ってわけではなさそうだなあ…と思ったけど見過ごすこともできないから走って行くと、
試験受けてる学生の机の上にある水を飲んでいる。
「ちょっとなにやってんのよ!」
「だって喉乾いたもん…」
子供か!!!
そのでかい図体(190センチ)はなんのためにあるんだ!
ぶん殴るぞ!
てなわけで私は試験の監督とその監督の尹くんの監督に手を焼く羽目になった。
しかも会場には私の声が響き渡っている。
ああー、倫子さん!私の声と駐在員さんのお兄さんの声の入った音声絶対くださいね!
私元気ない時それ聞いて元気になるからさ!
でも、笑える問題もいくつもあった。
太郎くんは10000円もらいました。友達に4000円貸しました。彼女に5000円あげました。友達は500円だけ返しました。さて、太郎くんはいくら持っているでしょう?
って、友達とんだゴミ野郎じゃん…!
って聞いてて笑いそうになったし、
録音に参加した問題も結構砕けた内容なのに学生が大真面目にウンウン唸ってるのを見ると思わず吹き出しそうになってしまった。
「佐藤さん、彼女はいますか?」
「いませんよ」
「うそうそ、本当は彼女いるんでしょ?」
「いませんよ。1人もいません」
「うそー、本当はたくさん彼女いるでしょ」
「いませんよー」
問題、佐藤さんは彼女が1人います
これを○×で答えさせる問題なんだけど、
みんな大真面目で聞いてウンウン唸ってる光景がなかなかシュールで面白かった。
まあそんな感じで試験は終わったんだけど、大変なのは終わった後だった。
前回同様、席から立ち上がって会場から出て行け!って言ってるのに、やはりずっと書き続けてる学生がいる。
「出て行け!」
と言っても聞かないから、
走って言って肩を叩いて
「ほら!でてけー!って言ってるだろ!」
と言うと、
「なにすんのよ!」
と逆ギレされてしまった。
他にも問題用紙を持ち帰ろうとしたり、直前まで答えを教えあったり、試験会場は混沌としていた。
それで、学生が出て行った後、
何人かの学生が残って倫子さんに抗議をして来た。
「リスニングが終わった後書く時間がありませんでした。書かせてください」
試験が始まる前に、試験が終わったらすぐ部屋から出てくようにアナウンスしたのになんでこんな抗議をしてくるのか私は腹が立ったけど、倫子さんは根気強く真面目に受け止めていた。
本当に偉いと思う。
その間私は問題用紙とか、解答用紙の回収を始めたんだけど、まさかな、
無記名者続出。
え…ちょっとまって。
中国って試験に名前書く習慣ないの…!?
とすっとぼけてみたけどそんなわけがない。
回収が終わった頃には倫子さんも私もきょうちゃん疲れ果てて呆然としていた。
試験が終わって3人でご飯を買って倫子さんの家に行くと倫子さんのスマホには学生からの学生からの微信が大量に届いていた。
その内容も、
名前書き忘れたかもー
などのくだらない内容がほとんどだった。
さらにげんなりする倫子さん。
もう、いきろ、そなたは美しい
って感じだ。
倫子さん頑張ってくれ。
なんだろ、私日本では大学生だけど私も第二外国語の中国語の先生に対する態度も大概だったから倫子さんみてたら胸が痛くなってきた。
一年の時の中国人の先生が必死に抑えてる授業いつも寝てたし、
一から十までの数字は覚えなかったし、
課題はやった試しがないし、試験も酷い点数を連発してた。
それなのに、あの先生は私が中国に来る前すごく親身になって相談に乗ってくれたなあ。
すごく懐が深いよなあ。今思うと。
帰国したらちゃんと王大川老師に謝りに行こう。
そいで真面目に授業受けよう。
頑張れ倫子さん!
負けるな倫子さん!
そしてリスニングの音声ください!
あと追試の学生がでたらまた録音させてください!
てなわけでどさくさに紛れて要求を吐き出したところで今日はこの辺でさようなら。