「土山さん、ばらまいた愛には責任を持たなければいけませんね!」
「………………………はい!」
にーはお!
諸君、こんばんは。
同居人のパパが市長と電話してるのを目撃して、もはや棗庄で彼女に勝てる存在はいないのか…!と天を仰いだ私です。紋浪です。
今日は本来ならば楽しく綺麗な大理旅行記を書こうと思ってたんだよ。
でもね、新学期前後から
- 同居人ビザおりない事件
- 水着着て徐州のプールに連行事件
- 新しい学生襲来事件
- 旅行学部の腐敗
- 同居人とボスとパパの紛争(趙さんの陰謀編)
などなど楽しい(死んだ目)事件がいっぱいあった。
で、やっとひと段落ついてなんだか疲れはてた月曜の夜。
今日はそんな話をしたいと思う。
事の始まりは昨日いきなり倫子さんからきたメッセージである。
「鼻毛想你(鼻毛はあんたのこと好きだよ)」
鼻毛っていうのは、この学校の物理学部かなんかの学生で日本語を独学で勉強してまあまあ操れる学生。
鼻毛が出てたことから、あだ名をつけることに関しては血も涙もない残酷な倫子さんによって「鼻毛のび太くん」と命名されている男子である。
じゃ、なんでその物理学部の男子が私のことが好きになったとか、そういうクソつまらん話になるかというと話はさらに3ヶ月ほど遡らなければならないのである。
6月の初め倫子さんたちの家に行った時、一人の見慣れない男子学生がちょこんと座っていた。
で、なんか話しかけて来たからニコニコ話を聞いていた。
中国の男の子は日本の男の子と違って割と難しい話や政治の話をしたがるのはなんでなんだろう、などと思いながら彼の話に適当に相槌を打ちながら頑張って聞いていたのである。
なぜ頑張って聞かなければならないかというと、彼の話が劇的につまらなかったからである。
なんで彼の話がつまらんかったかというと、
とにかく歴史問題を持ち出してたまに日本を攻めながら中国の共産主義礼賛に終始していてなんだか気持ち悪くなってしまうからである。
いくらおふざけが好きな私とはいえ中国共産党の素晴らしさをイッってる目で話してる男子の発言をおちょくるほど命知らずではない。
ああこれが中国の愛国教育の成果なのか…
と嘆息しながら見つめていた。
で、1時間半ほどばかり勝手に好きなことだけ喋り倒して彼は帰って行った。
倫子さんと佐藤さんは彼を私に押し付けて各々の作業に従事していた。
手伝ってくれーい!
まあそれっきりだったのだ。
で8月私がちょうど雲南省にいたころ、
「今日は僕の誕生日なんだ…。棗庄にいる?」
という明らかに明らかなメッセージが届いていたのだけど、なんとなくめんどくさくて明日返信しようと思っていたら忘れてしまっていた。
(最低である。)
で、
そんな状態で新学期が始まったんだけど、なんかよくメッセージがきてて、ひたすら病んだ世迷い言ばかり投げつけてくるので私はいい加減辟易して、
- 君ならできるよ
- 自分を信じて
- 応援してるから
- 絶対大丈夫だから
の4つをローテーションしながら返していたのである。
で、めんどくさーと思いながらやり過ごしてた昨日のがこんな感じ。
「昨日は眠れなかったんだ…ねえ、今日時間ある?」
って一通目にに来てるんだけど、
てめえの睡眠くらいてめえで面倒見ろや!てかwechatに毎日お前の日記おくりつけるな!こちとら暇じゃねえんだよ!ひき肉にするぞ!
って気分だ。
てか、誰かわかって欲しいんだけど中国人がたまに使う、この顔を隠して泣いてるこの絵文字が最高に腹立つの私だけ?
他は許すけど、この顔文字だけは本当に許さないぞ!
(って書いてるそばからボスがこの顔文字使ってwechat送ってきた。あなたって人は本当になんかもう期待を裏切らないよね…)
まあとにかくこの下に、
「今日用事ある?大事な相談があるんだ。」
「本当に本当に重要なことなんだ」
と続いている。
そんな念をおさんでもわかるわ!
なんでこんなにイライラするんだ私は。
「いや、今日夜授業あるし(嘘)むりだわー。」
って送って、もうその後は放置を決め込んで喜んでたら、いきなり倫子さんから先ほどのメッセージがきた。
「鼻毛想你(鼻毛はあんたのこと好きだよ)」
わかっとるわ!
だから無視っとったんだぞ!
というか、私が返信しないからって倫子さんに
「土山さんと連絡取れないです!困りました。助けてください」
みたいなメッセージ送るのやめろ!
一丁前に外堀を埋めようとするんじゃない!
それが気持ち悪いんだぞ!そういうところだぞ!わかったか!
そしと返信こない時点で察してくれ!頼む。
と、まあとにかく腹を立てている私。
その間に話がまとまって行って、
いつのまにか夜に彼が倫子さんたちの家に来るとことになって、私も倫子さんたちの家に行くことになっていた。
怒り狂って「いくわけないだろ!死ぬほどめんどくさいっすよー!」と吐き捨てる私を、
「まあまあ、そう言わずにちょっと来てよ。鼻毛は10分で終わるって言ってるからさ。」
となだめて、すかして説得する倫子さん。
いつもお世話になりまくってる倫子さんにそこまで言われたなら行かざるを得ない。
んとにもお!倫子さんを通すとか、姑息なことしてんじゃねーよ!クソ面白くもねえなあ!
と、さらにはらわたをグツグツ煮えくり返らせる私。
一回しか会った事のない人間にここまで嫌悪感を育て上げることは今までの人生であんまりなかったんだけど、じゃあなんでここまでの感情を育て上げてしまったのかを考えてみた。
で、たどり着いたのが二つ。
- 僕かわいそうな子オーラ
- 壁打ちコミュニケーション
まず、なんだその被害者感は!
彼が倫子さんや佐藤さんそして私を巻き込んで相談したい内容とは、彼の大学院試のことである。
なんでも外国語(英語)の勉強が滞っていて、半年勉強した英語を諦めて日本語に切り替えたい。
しかし試験まではあと100日そんな大胆な決断をしてもいいのか、周りの先生は反対している。
でも、これ以上英語に伸びしろはない。
だから日本語をやるしかない。
でも自分に自信が持てない。決断ができない!
例えば彼が、
日本語の院試の問題を持って来て、難易度の相談や作文の質問を我々日本語教師にして来たなら私はこんなに怒ってはいない。
彼はただ、
自信が持てない僕は飛べない鳥!
ってことを延々と言ってるだけである。
挙句日本語を使うことを放棄。 延々中国語を話し始める。
最後には聞いてくれてる倫子さんと佐藤さんに対して、
「土山さんの中国語問題ないから彼女に相談します。先生たち好きなことしてていいよ」
って、お前!
最初だからそれ目当てだっただろーが!!!!
と、ちゃぶ台ひっくり返したくなったけど、美味しいカレーうどんが載ってたので我慢。
私は彼の泣き言と自己中な理想論を聞きながらなんとか目の前のこの男をジェジュンに見えるように自分に催眠術をかけてみたり、
[参考画像]
しかしこれはジェジュンに申し訳なくなってやめた。
「考えろ、私。目の前の男は、物理学部の眼鏡だぞ?理系男子!弱ってる男子!お前の好物だろ!さあ!食え!」
と自分を叱咤激励などしてみたが、全く効果がなかった。
男の人がどうしても[自主規制]な時ってこんな感じなんかなあ…などと呆然と考えたりした。
最低である。
話を戻す。
彼は大学入試に失敗したらしく今の自分の学歴や立ち位置に大いに不満があるらしく、大学院で逆転したいらしい。
その心意気は好きだ。
応援したい。
そして、苦労してる自分、不遇な環境で努力してる自分に酔いしれてるのもまあ許す。
浪人時代の自分がそうだったからだ。
だけどな、
それに人を巻き込むんじゃない!
って話だ。
大学院に行きたいのは自分の夢。
今の大学にいるのは自分の受けた試験の結果だ。
全部自分の人生なのに、なんでそんな被害者意識を持っているんだ。
その被害者意識が私は嫌なんだ。
「ボクは、こんな場所(棗庄)に生まれて、それでも広い世界を見たいと思って努力をたくさんした。でも、神様は僕に意地悪で広い世界につながる扉を閉じてしまった。(受験に失敗して棗庄大学に来てしまったこと)毎日絶望していたその時、日本語に出会い。君に出会った。君は僕を乗せて広い世界につながる飛行機になってほしい」
書いてて死にたくなって来た。
どうでもいいけど、この手のことを外国語で言われるといちいち頭の中で訳しながら聞いてしまうから無駄に噛み砕かれてしまってパワーが倍増するよね。
てかなんだよ、飛行機って!
もし私が飛行機だったらお前が乗り込む前に速攻離陸するぞこの野郎。って感じだぞ!
なんで私があんたを乗せて世界に行かなきゃならないんだよ!
百歩譲って飛行機になるとしても、あんたは乗せねーからな!
そもそも、自分で自分の人生を切り開きたいだの、絶対諦めてはならない試練の中に僕はいるんだ(これを言葉に出してるのもだいぶん気持ち悪いんだぞ)、だの散々かっこよさげなこと言っといて、なんで最後に私を飛行機にしようとするんだ!
結局他力本願かよ!
しかも一方的に話して、相槌しか許さない。
なんか言おうとしたら遮って何も言わせない。
私はテニスの壁打ちに使う壁じゃねーんだよ!壁打ちしたいなら一人でやりやがれ!
でも根気強く
「大変だね。、」
「わかるよ」
「自分を信じて」
なんて相槌打ってあげてた昨日の自分を投げ飛ばしたいよ私は。
なんで壁に徹してるんだよ。
打ち返して怪我させるくらいやってやれば良かったんだ。
散々甘え散らかして満足したらしく、また政治の話を始めた。
それも全部中共礼賛。
つまんないなあ。
そんな話ししたいならもっとエッジの効いた皮肉や冗談を言って欲しい。
結局3時間半も人を拘束して、
「君だけが僕をわかってくれるんだ。これからは定期的にこうやって語り合おうよ」
って、
お断りだっ!!!
私はお前のことなんてわかんねーし分かりたくないわ!
そして、いつ語り合ったんだよ!
終始!お前が!ばぶばぶ甘えてただけだろ!
うち回すぞ!
満足そうに帰っていった彼を倫子さんたちの家から見送った後で私は具合が悪くなった。
彼の甘えやら泣き言から変なものをもらったのか吐き気と頭痛に悶絶する羽目になった。
そして思ったのだ。
私はこの数時間、自分の勉強もせずにただ甘やかしてほしいだけの仲良くもない人間をどうしてひたすら甘やかさなきゃならなかったのか。
キャバクラ嬢みたいにお金がもらえるわけでもないのに。
弱った顔してやってきたから謎の責任感で底なしに優しくしてしまったけれど。
体調不良に遠のく意識の中でボスがいつかいってた言葉がよみがえる。
「土山さん、ばらまいた愛には責任を持たないといけないですよ。」
その愛に愛想というものが入るなら、私は自分が不要にまき散らかした愛想にツケを払わされたのかなあ。
とにかく、私の様子を見た佐藤さんと倫子さんは私のことをメンヘラ製造機と命名した。
たしかに中国に来てから彼のような無尽蔵で都合のいい優しさを求めるメンヘラを量産しまくってる私はもはやこの名前に反論する術を持たない。
メンヘラ製造機の先輩の佐藤さんとその日は反メンヘラリズム宣言を作った。
メッセージ又は電話を、
とらない!
そして、心配になって無駄な良心がでてきても、メッセージや電話を、
かけない!
最後に絶対に、
甘やかさない!
プラス、倫子さんを噛ませない!
今回も倫子さんがとりついでしまったからこんなことになったし、
三度の飯より面白いことが好きな倫子さんは、
だって面白そうなんだもん♡
というファッキンキューティーな理論でメンヘラ予備軍と私を引き合わせてしまうという悪事をたまにやらかすので警戒が必要ということで組み込まれた。
(倫子さーん!ガチでかんべんしてくださいよおおおおお!いいかげん普通の人と引き合わせてくれええええええええ)
そのは疲れ果てて帰ってきた私を見て、
すかさず、「どした?」
と効いてきた同居人はことの顛末を聞くや否や転げ回って笑いまくり、
「そりゃそんな、ニコニコ穏やかに愛想よくしてたら勘違いもされるでしょ。いやー、いつかやらかすと思ってたけど、可笑しいのなんの…あっはっはー」
と大喜び。
そして追い討ちをかけるようにボスから電話かかってきた。
ちょうどさっきボスのセリフを思い出していたので、
「先生、先生の言ってたこと正しかったです…」
脳内百花繚乱の花園なんて言って悪いことしたなあ。
と思いながら素直にそう言ったら、
「私のいうことはいつも正しいですね!」
前言撤回。
やっぱ脳内百花繚乱の花園だよ、あんたは。
てなわけでただちょっと愛想よくしただけで訳の分からんほどしんどい思いした私の話はここでおしまい。
おやすみなさい。