紋浪ちゃんの覚え書き

気になることとか拙い和訳とか

武夷山で川下り(福建編最終回)

 

にーはお。

前回の日記読んだ人は思うだろう。

 

「なんだかんだ言って、土山楽しそうだなあ」

 

と。

その風潮に私は全力でノーと唱えたい。

 

ほんとーに大変だったんだからね。

今日はそんな話から始めようと思う。

 

いままで同居人や殷くんや張くんをはじめとして、大学の友達など様々な中国人と関わってきたけど、その度に文化の違いや訳のわからなさにぶっ殺されてきた。

 

で、今回Qちゃんに会うことになって、私はすっかり安心していたのだ。

 

 この子は日本にもう一年半いるし、日本のことわかってるし、多分私の気持ちもわかるだろう。

 

気が楽だなあ…。

 

と、呑気にこんなことを考えていたその時の私をぶん殴りたい。

 

いいか、よく聞け。

 

中途半端に日本のこと知ってる外国人で知ったかぶりするやつほどめんどくさいものはねーからな!

 

 そう、このQちゃんが死ぬほど厄介だったのである。

 

何が厄介かというと、とにかく日本のことを全て分かったつもりでいることに尽きる。

 

例えば、何か食べ物を出されて中国人から「おいしいか?」と聞かれて、

本当に美味しくて「おいしい!」と答えたとき、

「日本人はなんでも美味しいっていうから信じられないよねー」

としたり顔で言われた時の私の腹の内と言ったら筆舌に尽くしがたいものがある。

 

これ、ボスもよく言うんだけど、

日本人は本当のこと言わない。

中国人に限らず外国人はちょっと日本のことわかってくるとこれを主張し始めるのはなんなんだ。

 

これ面白くてちょっとわかってる外国人がカッコつけて主張したり、ちょっとしかわからないゆえに過剰に警戒する外国人が主張すること。

 

熟練者になってくると、単にまずいと言わないだけで、

「私はこちらの方が好きです」(美味しくないものから逃げて別のものを食べる)

「あー、もう十分ですわ。お腹いっぱい」

(それ以上食べない)

 

などやんわり断っている言葉から汲み取ることができるようになる。

 

私は出されたものが本当に美味しくて、嬉しくて出してくれた人に感謝の意を込めて「おいしいです」って言ってるのになんでよ。

失礼すぎるじゃないの。

 

しかもこれを何か口に入れておいしいというたびに毎回やる。

そしてご丁寧にもその場にいた中国人に解説する。

 

私「好吃!(おいしいですー)」

Q「と、彼女は言ってるけど、日本人は相手のためになにを出されてもおいしいというから…」

 

なんで言うのそれ!?

 

仮にそう思ってるなら、解説する必要ないでしょう。なんだそれ、私日本のことわかってますアピールか!?

 

本当に腹が立った。

 

いくら彼女の説明を取り消そうと頑張っても、流暢な中国語には勝てない。

 

他にも、自分から日本のことを聞いてきておいて、教えてあげたら、

 

「いや、私はそれは違うと思う。私の周りの日本人は…すみかはおかしい!」

 

いやいやいや、あんたね。

日本のこと聞いてきてどうして日本人の私が言ったことを真っ向否定して中国人の自分の持論を通そうとするの。

 

なら聞くな!

 

と、私の腹の中にものすごい勢いで鬱憤が溜まっていく。

 

「日本人は上下関係に厳しいか?」

 

と聞かれたから、

 

「厳しいよ。年上に敬語使わないと絶対ダメだよ」

 

と言ったところ、

 

「嘘つき。私はバイト先の37の人にタメ語だねどマジで怒られたことないよ」

 

ときた。

(まず嘘つきってなんだよ、)

 

そーれーはー、あんたが外国人だからみんなが手加減してくれてるんだよ!

 

そして、彼女はこのように優しい人に囲まれたおかげで自分は日本人の感覚を完全にわかっていて日本人と同等に日本でうまくやっている、と自己分析をするに至ったのである。

 

 

なんだかなあ…これって幸せなんかなあ。

たしかに敬語とかマナーとかを外国人相手にうるさくギャーギャー言うのもどうかと思うけど甘やかしすぎてこの手の勘違いをしてしまってると、いざ本当に日本人に対峙した時絶対うまくいかないと思う。

(現に私は腹を立てまくっている)

 

 で、わたしが一番わけがわからないなあと思ったのは、ここが観光地も何もないど田舎だったことである。

 

いや、ど田舎に罪はない。

ただ、観光する場所たくさんあるからきてー!と言っておいて、来てみたら

「観光ないよ!」と来られるとこれは、

 

嘘つきやんけ!

 

となる。

で、この記事の日の終わりに、

 

「あしたなにすんの?」

 

と聞いたところ、

 

「あしたはー、ご飯食べる!」

 

「ほかは?」

 

「………………」

 

 

直感でわかった。

このままではあした飼い殺しである。

そして、出荷前のフォアグラのごとく食べるだけである。

 

てなわけで、

 

武夷山いきたいんだけど」

「あついからやだー」

 

暑くて家でダラダラしたいなら私を呼ぶんじゃない!

 

と怒鳴りたくなる気持ちを抑えて

 

「だったら私明日から旅に出るから。バイバイ」

 

と言ってみると

 

「いくことができるようにしよう!」

 

…どうやら連れていってくれるらしい。

 

 

てなわけでその日は早く寝て朝になってさあ出発!と思いきや、

武夷山に住む親戚の好物である建甌の名物を買いに行くとのこと。

 

それがこれね。

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今ではもう機械で作ることが主流らしいんだけどこの日買いに行ったお店ではかまどに手で貼り付けて焼くっていう伝統的な手法が残っているということで味も良いらしく有名で人気店らしい。

 

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確かに飛ぶように売れていって次々と焼きたてが出て来ていたし、ひとつ食べて見たけど香ばしくておいしかった。

 

というわけでお土産も買ったし、準備万端で高鉄に揺られること20分ちょい。

 

あっという間に武夷山の駅についた。

そこからQちゃんの親戚の車に揺られること1時間ちょい。

 

観光前に食事ということで、レストランに入るとたくさんの親戚が待っていて歓迎してくれた。

今日はみんなで観光するらしい。

 

いや!聞いてないよ!

 

と思ったけど、話してみると気さくで親切な人たちばかりだったので安心した。

 

 親戚の方でチケットが手配されていて食事が終わったらすぐに入場。

チケット売り場の前を通ったけどチケットは売り切れになっていた。

 

 武夷山世界遺産にも登録されていて世界的に有名なんだけど、中でも特に有名なのが竹でできた筏に乗って川を下りながら風景を楽しむ九曲渓下り

 

 船の乗り場までの道は険しくて舗装もされてなくて歩きにくい。

そして、人が全然いない。

 

世界遺産なんだからもっときちん整備して宣伝すればいいのに…

 

と思っていたらあっという間に乗り場に着いた。

 

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乗り場に着いた途端さっきまで見当たらなかったのにたくさん人がいる。

 

私が不思議そうな顔をしているとここでQちゃんの種明かし。

 

なんでも、Qちゃんの親戚が武夷山の偉い人らしく、さっき通った道は従業員用(ものすごい近道)。

チケットはその人が手配してくれたとのこと。

さらにQちゃんの指差す先には長蛇の列。

船を乗る順番を待っているらしい。

 

つくづく中国社会において人脈とコネって大事なんだなあ、と痛感した瞬間だった。

 

てなわけで乗船。

 

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このはな見たとおり竹でできてるんだけど、すごいのは船だけじゃなくてこれを漕いでるおじさんたち。

 

実はこの川は浅いところは本当に浅いのね。

 

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おじさんたちはそんな浅瀬を竹の棒で引っ掻くようにして上手に前に前に進んでいく。

最初は景色よりもおじさんたちの方に興味が湧いてずっと見ていたら

 

「景色を見なきゃ景色をー」

 

と漕ぎ手のおじさんに笑われてしまった。

 

さてそんなおじさんが勧めて来た絶景がこちら!

 

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とにかく写真が上手に撮れなくて悔しいんだけど何もかもがとにかく大きい。

 

動画も撮ったから是非見てくれ。

 

 

この日は本当に暑くて天気がいい日で、

船に乗ってるだけなのに汗をだらだらとかいてしまったけど、

私たち6人を乗せて40分近く船を漕いだおじさんたちは爽やかで疲れた様子を見せない。

 

お揃いの衣装を着て船を漕ぐこのおっさんたちは実は中国政府が秘密裏に作成した観光地用ロボットなのではないだろうか、などと暑さに頭をやられたのか馬鹿馬鹿しい妄想をしてしまった。

 

船から降りるとまた少し歩いたところに親戚の車が止まっていた。

 

関係者の車しか入らないはずなんだけどなあ…と思ったけどもう野暮なことは聞かない。

黙って乗り込んでまた1時間くらい揺られて高鉄の駅に戻った。

 

 ヘトヘトになってQちゃんの家に戻ると、

今度はQちゃんの建甌の親戚の集まりに連れていかれてまた歓迎された。

 

なんだかここまで歓迎されると、自分に果たしてそんなに歓迎する価値があるのだろうか?否!ない!という自問自答を始めて申し訳ない気持ちになってしまったけど、

そんな私の心の中を全く知らない彼らは、たくさんの料理を食べさせてくれたし、

たくさんのお酒を飲ませてくれた。

 

 Qちゃんのお父さんは特に優しくしてくれて、

なにを食べればいいかわからない私をとにかく気遣ってくれた。

 

そして、春節また建甌にくるように、としきりに招待してくれた。航空券代までくれると具体的なことまで言ってくれた。

 

 もちろんそのころは就活があるし、復学もしないといけないから、無理なんだろうなあと分かっていたけど、そういうふうに気遣ってくれることがとても嬉しかった。

 

そういうわけで、私の建甌最後の夜は楽しく明けて、次の日荷物をまとめてQちゃんとはさよならをした。

 

いろんなことがあったりいろんなことを思ったりしたけど、いろんな貴重な体験をさせてくれてQちゃんやその親戚の人たちには感謝してもしきれない思いだ。

 

温かい気持ちで長沙行きの高鉄に乗り込んだ。

 

さて、福建編はこれにて終了。

次からは舞台があの毛沢東の出身地湖南省に移るよ。

 

毛泽东的思想是革命的宝。谁都反对他的人就是我们的敌人!中国社会主义核心价值观万岁!

 

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てなわけで、今日はこの辺でさようなら。