にーはお。にーはお。
前回の同居人の話は結構暗かったけど、
ここ枣庄での同居人との生活は基本的に楽しくてコミカルだ。
今日は同居人助けてもらいながら通販で買ったスマホのカバーが届いたので喜んでとりにいった。
こんなん。
せっかくだから思い切り中国っぽいのを…って二人で選んでかったんだけど期待以上に良かった。
中国のスマホケースは可愛くて安い。
一つ500円前後で日本で買ったら三千円くらいのクオリティのものが買えるから楽しい。
ついでにストラップもかった。
中国のスマホケースは基本的にストラップを通す穴があって、首からスマホをかけられるようになってる。今日買ったのはそのためのストラップ。
そのあと服屋に行って夏服を少し買った。
上下買って2000円行かない。本当に助かる。
でそのあとまた同居人と服を買った。
よりによってお揃いである。
私は日本にいた頃女の子の友達同士で同じ服を着たりはしたことがないし、そういうことをするのもあまり好きではないけど、同居人が大はしゃぎだったから買うことにした。
そしたらなんだかこっちまで楽しくなってきて、二人で同じ服を着て出かけるのを今はなんだか楽しみにしている。
同居人の言われた通りに首からスマホをぶら下げて、同居人の選んだ服を着て、すっかり身なりが中国人と化してきている。
こないだは、先輩の日本語教師の倫子さんの授業の試験の手伝いに行った。
100人くらいいる試験なら手伝いも必要と思うけど、50人程度の試験一人で切り盛りできるのでは…と思ってたら、
「この大学本当にカンニング多いんだよー」
と倫子さん。
カンニング…?
日本にいればカンニングなんてもはやマンガやドラマの中の世界の話。
倫子さんに頼まれたのは、後ろに立って生徒が不正をしないように見張ること。
試験は1時間ということで眠くなるだろうなあー暇だろうなあー、などとのんきに構えてたら、
これがとんでもなかった!
解答用紙を後ろの人に見せて友達同士で助け合ったり、リスニングの合間に教室がざわめいてる。
無論、このざわめきは答えを教えあっている声である。
そして、教えあってるのを見つけて、遠くから
「ダメだぞ!」
と言うと、やめると思いきや、
駆け寄って行って近くまで行って、
「や!め!ろ!」
と言うまでやめない。
学校自体も大概で、試験が始まる前に倫子さんが
「試験中につき、入室禁止」
と書いてるのになぜかドアを開けて入ってこようとする人がいるし、
外から窓越しに学生の女の子に話しかけるわけわからん男どもは出現するし、
女の子は女の子で普通に喋ってるし。
カオス、本当にカオス。
試験開始前に倫子さんが、
学生を前に来させて、
こんな風に荷物を全部前に置かせて、
徹底的に厳しくしてるのを見て、
そこまでする必要が…とか思って見たりもしたけど、普通はさらにポケットの中を探ったりボディチェックもするらしい。
そして、散々不正があって試験が終わって倫子さんが
「立って外に出ろ」
って言ってるのにみんな大急ぎで友達に答えを聞きながら書く書く書く!
すかさず走っていって、
「ふざけんな!立て!」
と言うまで立たない。
隣の子が言われて立っても自分が言われるまで立たない。
何が一番ビックリかと言うと、
不正を見つけてこちらが注意した時の学生の表情である。
学生、全然こっちを怖がってもいないし悪びれもしない。
友達に謝るみたいに、ごめんごめーん、みたいな感じで軽い。
もしも日本でカンニング見つかった場合見つけられた人は絶対に顔面蒼白になる。
しかし、ここ中国は違う。
こちらの注意を軽く流し、
こっちが離れたらまたやる!
そのため私は同じ生徒に何回も注意する羽目になった。
試験が終わって学生を全員教室から出して答案を回収する頃には、私も倫子さんも疲労困憊で呆然としていた。
もちろん不正を見つけた学生は倫子さんにもれなく報告したから、大いに減点されればいいと思う。
狭い教室だったから机に足をぶつけたりして怪我をしたり、なかなかにハードな試験監督だった。
しかしわからないのが、カンニングを手伝う学生。
カンニングによって点数が上がる学生はまだしも、カンニングを手伝う学生は何を考えているんだろうかと思う。
自分が努力して点数を稼ぎ出してるのをみすみす他人に渡してしまう神経がわからない。
倫子さんと私が一番参ったのは、普段真面目で頑張っていて授業態度のいい学生ももれなくカンニングに参加していたことだった。
なんだろ。この裏切られたみたいな喪失感は。
だいたい倫子さんがかわいそうだ。
彼女はいろいろ考えて一生懸命試験を考えて学生の要望にも耳を傾けて、作っていたのに、
それに対する学生のアンサーがカンニングだなんて、本当に最悪だ。
憤りながら家に帰ると、待ち構えていた同居人がいろいろ話しかけてきたから、
その話をすると、しれっと自分もやってたぞ!
と言いやがった。
いや。おまえもやっとったんかーい!
中国では至極普通のことらしい。
うーん、同居人とあくまで一つの大学の一つのクラスのことだけで判断するのはダメかもしれないけど、それでもやっぱり中国って日本と全然違うなあと痛感した。
それでも試験問題を作ってたのりこさんのことを見てた私が腹を立ててることには変わりはないのだけれど。
思わぬところで異文化に遭遇してしまった。
異文化といえば、私が最近一番しんどいのは、
中国人が一人の時間を必要としないのでは…と勘ぐりたくなるほど一人の時間がないことである。
毎日、朝起きておはようからおやすみまで一人でいられる時間は昼寝の時間とトイレの時とシャワー浴びてる時だけ。
堪り兼ねて、
「一人になりたいんだ…」
と言ったら、
「具合悪いの?」
と返された。
そう言われると、そうともいえず。
なし崩し的に一緒にいる。
仮病はいざという時のためにとっておきたいからね。
これは同居人だけでなく、
他の友達もよく私を気にかけてくれるし
一人で大学歩いてたら見知らぬ男の子たちから
「いつも一人で歩いてるけど大丈夫?」
と言われたりしたこともあった。
一人でいることが心配の対象になるとは。
というわけで先日、業を煮やした私は同居人と友達に、非常に不謹慎な手を使って一人の時間を勝ち取ろうとした。
今日は5月9日。
国恥記念日である。
日本が第一次世界大戦の際、中国に二十一か条の要求という著しく中国に不利な条件を呑ませた日で、中国では抗日の上で重要な日らしい。
日本でこれを知って行った私は本当に怖くて子結構前からこの日を恐れていた。
授業後お出かけに誘ってきた同居人たちに、
「ごめん、今日は怖いから外に出たくない」
と言った。
本心だった。
そしたら、同居人たちは全く意味がわからない様子で、「なんで?」を繰り返す。
今度は私が意味がわからない。
と、いうわけで、
「今日は9日だからやだ!」
というといよいよわからない様子。
どうやら本当にわからないようで。
「今日は国恥記念日でしょ?」
というと、
あ!そっか!
と思い出したかのように膝を打った。
同居人たちに言わせると、あまり中国人にとって重要な日ではないらしく、知らない人の方が多いらしい。
私はてっきり、2012年の反日デモのような光景が現れると思っていたが、外の風景はいつもと変わらないのどかさだ。
同居人たちは、たくさんある反日に関係ある記念日の中から気をつけるべき日や地区を丁寧に教えてくれた。本当にありがたいと思った。
しかし、問題ないなら問題ないで、とにかく一人でダラダラしたかった怠け者の私は外には出ない!とごねた。
授業を大量にして疲れ果ててたのもある。
しかし、
「それじゃ、さびしいよ。私たちも今日いてあげるね!」
といわれて、私の目論見は見事に裏目に出た。
というわけで、いつものように部屋で一緒に勉強したり、おしゃべりしたり。
楽しい、楽しいんだけど、私には一人の時間が必要なんだ…!!!!
という魂の叫びを押し殺して、引きつった笑顔で
「ありがとう」といった。
こっちに来て太ったからとにかく食事を抜きまくり、体型をなんとか頑張って維持するなら減らすなりしようとする私をひっきりなしに、
「吃饭了吗?(ごはんたべた?)」
といって大量のものを食べさせようとしたり。
中国人って他人に干渉することに対して迷いや推敲がない。
日本人みたいに、迷惑かな…などと考えることはない。
とにかく干渉してみて嫌だったら向こうが断るっしょ!
というスタンスらしい。
同居人や私と関わってる学生はもれなくこのスタンスで、中国人同士でも軽く誘いあい、少しでも気乗りしないならこちらがびっくりするほどバッサリ切り捨てる。
慣れればこれは気が楽だろうなあと思う。
日本はなんとなく断れなくて気乗りしないままついていって、誘った方も「無理やり使ってくれてるのかなあ」などと心配しないといけないけど、ここ中国では乗り気じゃないならそもそも行かないから、はっきりしててわかりやすいよね。
まあそんな感じで中国人にもまれながら毎日なんとか生き残っているよ!
勉強は最近全然できてないよ!
嗚呼…