紋浪ちゃんの覚え書き

気になることとか拙い和訳とか

留学生の不安と容赦ない同居人。

 

中国生活も三ヶ月も過ぎて、

最初こそレアキャラとして腫れ物のように扱われていた私も、今ではすっかり無茶を言われまくっており、それを断ろうと果敢に立ち向かうも、華麗な中国語で反駁を受けて日々咽び泣きながら毎日を過ごしている。

 

先週の土日は、土曜日は朝っぱらから叩き起こされて映画部の子たちの撮影を手伝いに行った。

しかし、彼女たちは日本語は全くゼロだから、

こちらが頑張らなければならない。

でも、写真が得意な友達が写真を沢山撮ってくれた。

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こんな風に友達と撮ったりとか、

 

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これなんか、SNSのプロフィールが全部英語の女がアイコンにしてそうな写真で出来上がった時みんなで大笑いした。

 

興奮したり楽しくなったりすると、こちらが日本人であることを忘れて方言やら早口でまくしたてる彼女たちに、

「こらこら、私は外国人だからね。ゆっくり話してくれー」

と幾度となく繰り返しなんとか意思の疎通を取りながら撮影を終えて疲れ果てて家に帰ると、

昼間いっぱいお昼寝をして元気いっぱいの同居人が待ち構えていて、

 

「おかえり!ご飯食べたか!」(中国語)

 

で話しかけてくる。

もう何も考えられぬほど頭の中が疲弊していた私は同居人の言葉がだんだん理解できなくなってきて、

不意に意味がわからないのに「オッケー」と行ってしまったからさあ大変。

 

なぜか同居人が大喜びし始めた。

 

なんだか嫌な予感がするぞ…!!!!

 

「やったー!他の人誘ったんだけどみんなに断られちゃって!でもどうしても見たかったんだ。」

 

などと言っておる。

 

同居人はどうやら私が思考停止してる間に私を映画に誘っていたらしく、それに適当に頷いてしまった私の一日中家でゴロゴロするはずだった日曜日は消え去ってしまった。

 

 

と、言うわけで日曜は同居人とイタリア映画を見に行ってきた。

 

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これな。

イタリア映画なんだけど、字幕が中国語。

 

頭の中は日本語で、

音声はイタリア語で、

でも字幕は中国語で…

 

 しかもこの映画、友達の家での男女の会話を中心に物語が進行するもんだから、

場面に動きがなくて動作やシーンから得られる情報があまりないタイプの映画で、字幕が命だったから本当に辛かった。

 

見終わったとき達成感を感じてたからね!

 

内容はとっても面白かった。

 

日本では大人の事情っていう助走つけてぶん殴りたくなるほどセンスがない邦題で公開されてたみたいだから探せばDVDになってるかも。

とても面白かったからオススメだよ!

 

 

そんなわけで散々引きずり倒された土日を終えて月曜は佐藤さんのお家に淘宝で買ったリュックを取りに行って、久しぶりにいろんなお話をして寮に帰ると同居人がいない!

 

どうやら家に帰ったらしい。

 

 

置き手紙を見て大喜びした私は、

とにかくはしゃぎまわって好きなものをたらふく買ってきて食べながらアニメを見て、

ゴロゴロして失われた土日を取り戻すべくダラけていると同居人は8時ごろには帰ってきた。

 

いや!早いがな!

 

とは思ったが、おかえりー!というと、

 

同居人はなんと、とんでもないお土産を持って帰ってきたのであった。

 

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ザリガニ…!?

 

中国語で龙虾というらしい。

 

 

さっき、好きなものをたらふく買って食べまくった私が大量のザリガニを目の前に呆然としているのを他所に同居人は嬉々としてこのザリガニの食べ方を教えてくれた。

 

前も食べたことがあったけど今回は味が全然違って、前も美味しかったけど今回もとても美味しかった。

 

 計2回の夜ご飯ではち切れそうになるお腹を抱えて同居人とくだらない話をした。

 

  中国の八大料理のこととか、

変なお笑い番組見たり、

 

同居人は典型的な中国人でおしゃべりが大好きで自分勝手なテーマを自分勝手に繰り広げる。

 

なんだか自分と似ているので好感が持てる。

 

なんとかついていこうと頑張って、玉砕して無力感と絶望をふんだんに味わって眠りにつく。

 

 そんな毎日を繰り返していた昨日事件が起こった。

 

 週に3回の中国語の授業でのこと。

 

 先生が「土山さんの中国語の進歩は眼を見張るものがあります。彼女が中国人の学生と歩いてるのを私は何回も見たことがあります。

それに比べてあなたたちはどうしてこんなに伸びてないんですか?特に◯◯さん…」

 

勘弁してくれ。

 

永遠に続く中国人の先生の公開処刑に名前を挙げられた学生は泣きそうになってるけど、

 

こっちもだいぶん泣きたい。

 

ただでさえ日本人一人で気まずいのになんてことしてくれるんだ。

 

 もともと私が働いてる大学は留学生がとにかく少なくて、語学クラスも一つしかない。

 私以外は全部韓国人の学生で全部で8人だ。

 授業中でも休み時間でも韓国語が飛び交う教室で私はいつでもアウェイだったけど、気のいい彼女たちはいつも私に親切にしてくれた。

 

  韓国人らしく、

先輩の女の子のことはオンニ

困った時は、オットッケー

 

ドラマやkpopの中でしか聞いたことのない可愛い韓国語がたくさん聞けて私は結構楽しかった。

 

 ただ、少し気になっていたのは韓国人学生の中でも一番中国語が得意な女の子が先生の通訳をしてしまうことである。

 先生も何回もやめるように言ったけど、

他の韓国人学生もその子の通訳をあてにして頼りに授業を受けてるから無くなることがなくて先生側も諦めてしまった。

 

こうなると厄介なのは、その通訳する子が聞き取れないこと=韓国人学生全員の限界

になることである。

 

私は韓国語がまっったくわからんから、彼女がいくら通訳しようと関係ないのでいいんだけど、もしもクラスに日本人がいてこんなことされたら私は絶対に嫌だったと思う。

 

ただ、これがまかり通ってる理由もちゃんとあって。

 

この大学は留学生がとにかく少ないから、レベルの全然違う子たちがクラスに混在してるから、低い子たちは先生の言ってることが全くわからなくなるのである。

 

クラスの水準は通訳する子のレベルにシフトしてる。

私は編入生だったから、クラスのレベルの決定には無関係だったけど、もう少し中間に合わせて教科書や課題を選んであげても良かったのでは?と思うほどに基礎ができてない子が中上級をやらされてるのは可哀想だと思っている。

 

基本、留学先の授業は日本人経営の民間語学学校でもない限りはオール中国語である。

 

こんな感じね。

 

 

ちなみに、このYouTube中国語講座は口語にシフトしててとてもわかりやすいし数も多いからオススメだよ。

自分で中国語やってみようとしてる人はトライしてもいいかもー!

 

まあ、留学先の授業はそのままにこんな感じ。

 

だから、先生の言うことがどれだけ聞き取れるかがかなり大切で、

 

聞き取れれば現地で学ぶならではの表現や先生の雑談がすごく楽しいからどんどん吸収してどんどん伸びるけど、

聞き取れなければそこでおしまい。

そこから先は蟻地獄か果てしない自己嫌悪タイムになる。(自分の体験談)

 

だから、先生の話が聞き取れるか取れないかで学生のレベルが二分されて差は開く一方なのだ。

 

私は大学2年の時天津に3週間だけ語学留学の体験に行ったことがあってこの状態になって非常に辛かった。

さらに、今回の留学の最初の2週間通った語学学校でもこの状態で毎日地下鉄の駅で不安で泣いたり。

 

とにかく散々のたうちまわって、一ヶ月前くらいにやっと先生の言ってることがストレスなしで全部聞き取れるようになったのである。

 

何が言いたいかと言うとここまで来るのには私には私なりの苦しみがあったし、悩みもあったし時間もかかったのだ。

 

そして先生の話が聞き取れるようになったところで別に何も変わってない自分に絶望してる。

いくら教室の中で先生の話が聞き取れても、同居人が何いってるかは相変わらずよくわからんし、

友人達が何をいってるかは未だ半分も聞き取れない。

一生懸命練習した発音を「ちがうよー」とからかわれて顔で笑って心で地団駄を踏むことも沢山ある。

 

改めて語学って本当にしんどいなあ、と思う。

2年前中国に初めて来て今よりもっとレベルが低い語学堂の初級の授業が全くわからず、

これがわかればきっと中国語は劇的に変わると思っていたけど、

全然そうはならなかった。

 

きっと同居人が何いってるか完全にわかるようになればその後にきっともっとどうにもならないことが待ってることが容易に想像がつく。

 

だから、伸びてない学生として名前を挙げられていた韓国人の学生の気持ちが私は痛いほどわかるのだ。

 

 留学に来る前は、きっと話せるようになる。

って楽しみにしてきたのに、時間だけが流れて自分は何も変わってなくて泣きたくなる。

 

 かわいそうだなあ、すごく気持ちわかるのになあ。

 

 いつもは授業がおわるとみんなすぐ教室から出るのに今日は韓国人の学生が全部その名前が怒られた学生の周りに集まって慰めてる。

 

イルボンイルボン(韓国で日本という意味)って聞こえて来るから、多分私の話題だろう。

 

なんとも気まずい思いで教室を出た。

 

何にも悪くないのになんか悪いことしたような気分になって寮に帰り着くと同居人が待ち構えていて、

 

市場に新しい果物が出てた、とか

今日は何時間勉強した、とか。

さっき荷物が届いたから今から取りに行こうよーとかそんな話をまくし立ててくる。

 

気が遠くなる思いで同居人の話を聞くために一度考えるのをやめた。

 

 

その夜、韓国人の学生に

 

私も三年生の頃(当該学生は大学3年生)は中国語ぜんぜんわかんなかったよ、

今でも困ることたくさんあるよ、

何か困ったことがあったら言ってね、

 

とか、そんなメッセージを送ろうかどうかだいぶん考えた。

 

でも、私は韓国語はかけないし、中国語でしか彼女にメッセージを送るすべはないし。

今日の出来事があってから長文の中国語を送りつけるのはなんだかとっても嫌味な感じがした。

 

そして、決め手は今日の一連の出来事を私から聞いた同居人が

「やめときなって、それマジでムカつくと思うよ」

ってばっさり切り捨てたこと。

 

というわけで私は送るのをやめておいた。

きっと韓国人の仲間たちがたくさん慰めてるだろう。

 

 でも、そう決めたら決めたで今度は自分の中国語のことが不安になってうだうだ悩む私の横で同居人は何やら静かにスマホを見たり一心不乱に手帳にいろいろ書き込んでいる。

 

ふだんひっきりなしに話してる人間が静かになる場合本能的に不安な気分になるのはきっと私だけではないはず。

 

「なにしてんの?」

 

と聞いたら、

 

「泰山に行く計画立ててんのー」

 

ときた。

 

「いいなあ。」

 

と呑気に頷いてると、

 

「なに言ってんの?二人で行くんだよ!6月のこの日とこの日あけててね!」

 

ときた。

 

マジかー、私と行くんかーい!

 

と、いいながらも。

 

まだ出会ったばかりの頃、

水滸伝が好きで泰山に行ってみたい!

と言ったことを覚えてくれてたんだなあ、と思ったらなんだかくすぐったいような嬉しいような気持ちになってしまった。

 

というわけでなんか、今度泰山に行くことが決まって、呆然としてたら、

 

6月8日の同居人の誕生日パーティーにいくことも決まってた。

 私以外全員親族らしいんだけど、これはもう私も親族ってことでいいよな?(やけくそ。)

 

まあそんなわけで、悩む暇も与えてくれない容赦ない同居人に振り回されながら私は今日も元気に死に損ないながら生きてる。

 

あと1週間あるし、なんか同居人の家族がなに言ってくるか、どんなこと聞いてるか一生懸命考えよう。

 

あの、よくわからん中国語を愛想笑いでやり過ごす瞬間をとにかく減らしていきたいね。

 

明日も頑張ろう。

 

おやすみなさい。