紋浪ちゃんの覚え書き

気になることとか拙い和訳とか

サヨナラ梅くん

 

にーはお。

私です、紋浪です。

 

先日、こんな記事書いて爽やかに平和な日々が戻ったことをかみしめていたんだけど、

 

そんなこと言ってるそばからその次の日には私が棗庄に来て史上最大の事件が起きた。

 

勿体つけずに簡潔にいうわ。

 

梅くんが劉ちゃんを殴った。

 

もともとこの2人は折り合いが悪かった。

 

 

でもまあ、ふつーに仲が悪いくらいで殴り合いをするほどではなかったのだ。

 

じゃあなぜこんな事件が起きてしまったのか。

 

それを今から書いていくから読んでね。

下手なホラーより怖いから。

 

まず、事の始まりはこの日、

 

ボスと劉ちゃんと劉パパたちとご飯を食べにいった時のこと。

 

ボスと趙さんは私と劉ちゃんにしきりに梅くんの様子を聞きたがった。

 

だから、私らは正直に言ったのだ。

 

梅くんの素行は決して良くない。

授業中眠るし。

スマホで遊ぶし。

問題を出したら答えを見るし。

 

でも。私はもうそれでいいと思った。

梅くんは私に対する態度はいいし、なすくんのように私を罵ることもなければ、

授業にもまあまあちゃんと参加している。

 

課題の出来も悪くない。

まあ、これも自動翻訳機や答案をこっそり見ていることはわかってるんだけどさ。

 

てなけで。

それらのことをひとしきり報告した後、

 

「いやー。不真面目なことも多いですから、ちょっと先生ちゃんと話をしてもらえませんか?

このままでは試験には通らないと思うし、ちょっと心配ですよー」

 

と言った。

 

で、それから1週間後の事件当日。

梅くんはいつものように私の部屋にやってきていつものように授業を受けた。

私はいつものように授業をしてそのあといつものように教室から出て散歩に行った。

 

私の学生はいつも授業を終えたらトランプやウノなどのカードゲームで遊ぶ。

 

梅くんはカードゲームが嫌いだからあまり参加しないんだけど、その日はなぜか進んで参加。

私はなんだかみんな仲良くゲームをやっていてすごく嬉しかった。

 

しかし、散歩から帰ってくると顔から血を流した劉ちゃんが王ちゃんと一緒に呆然と部屋に座り込んでいた。

 

「先生、梅くんが私を打ったのよ。」

 

思考が停止した。

 

「ほんとです。」

 

と王ちゃんが付け足すように言って、

私の目の前は真っ暗になった。

 

劉ちゃんはすでにお父さんに電話していたらしくお父さんからの着信が止まらない。

 

劉ちゃんのお父さんは娘を溺愛していて

「一回も殴ったことなどなかったのに…!」

 

とわけのわからなくなるほど怒っているようだ。

 

そしてその数分後には梅くんが梅くんのお母さんと一緒に駆け込んできた。

 

ひたすら謝る梅くんのお母さんは、息子の梅くんにも謝るように言ったけど、梅くんは

「てめーを殴った時歯にあたったから俺の手が痛てーんだよ。てめーこそ謝れや」

と言い放った。

 

清々しいほどのクズっぷりに私は目眩がしてきた。

そしてそれだけ言いすてると梅くんはさっさと外に出て行った。

 

私は己の人を見る目のなさを呪った。

劉ちゃんはとにかく梅くんが来た時から、あの子はおかしい。と言い続けてきたのだ。

そして梅くんは特に女性に対する態度がひどいらしく、王ちゃんにも無礼なことをたくさん言っていたらしい。

ただ、私に対する態度は私が先生だからとにかく良くて。

そして梅くんが小声や早口で彼女たちに対していう無礼な言い草は、私には聞き取れないし意味も分からなかった。

 

だから、とにかく分からなくて。

 

劉ちゃんの話をずっと信じなかったのである。

 

その結果梅くんは劉ちゃんを殴り。

 

劉ちゃんが正しかったことが1番悪い方法で証明されてしまったのである。

 

王ちゃんはいつも5時に帰るのに、

今日は梅くんと梅くんのお母さんと、

劉ちゃんと劉ちゃんのパパという冷静でない中国人に囲まれたら先生(私)が辛いだろう、

と気を遣ってそばにいてくれた。

 

そうこうしてるうちにボスから電話がかかってきてだいたいことの顛末がわかった。

 

梅くんが劉ちゃん殴って暴言を吐き捨てて逃走

劉ちゃんがパパに電話

パパがキレまくってボスに電話

ボスが梅ママに電話

梅ママ来る

 

事件が起きた10分前にボスは高鉄に乗り込んだらしく、ボスも自分のタイミングの悪さを呪っていた。

 

ボスの声は明らかに疲れていた。

 

王ちゃんに聞いたところによると、劉パパの怒りは相当らしく、不審な学生(梅くん)を連れてきて娘の部屋で勉強させていたことに怒っていて、

「俺の満足する結果を提示しなけりゃ、二度と棗庄の土を踏ませねーかんな!」

と言い放ったらしい。

 

故にボスは高鉄の中でガクガク震えながら劉パパに謝り続けていたらしい。

 

が、私にしてみれば。

 

なんでてめーはこういう肝心な時にいてくれねーんだよ!私にどーしろってんだよ!

 

という気持ちが溢れてきて、

ボロボロに泣き始めてしまった。

 

梅くんはいい子だったんだ。

梅くんは女の子を殴ってそれも顔面を殴ったんだから悪いさ。

でも、梅くんに対する劉ちゃんの態度だってものすごく悪くて仲間はずれにしたりしててかわいそうだったんだ。

殴った方が悪いけど、梅くんだって梅くんなりに頑張っていたんだ。

 

わかったような口を聞いて、

「もう梅くん退学にしたから来ないから安心してねー」

といってるボスに腹が立った。

 

それから劉ちゃんに対する申し訳なさ。

痛かっただろうに。

私が信じてあげて梅くんのこときをつけてたら。

 

宿舎の前にうずくまり電話をしながら泣きじゃくる私をみて、

何を思ったのか通りすがりの中国人カップルが

「きっともっといい男の人が見つかるよ。元気を出して」

と風船をくれた。

 

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…………どうやら失恋したと思ったらしい。

 

私はしゃくりあげながら頷いてお礼を言った。

 

そばから今度は仲のいい食堂のおっさんがやってきて、

私がボスと電話してる隣から、

「どうしたの?大丈夫かい?」

と聞いてきて、ギャーギャー話しかけてきて

ボスに対して

「この子をいじめるんじゃない!この子は外国人で頑張ってるいい子なんだ!」

とヤジを飛ばす。

 

私は泣くわ、おっさんはヤジを飛ばすわでボスはなんだか分からなくなってきてしまっていた。

 

そうこうしてるうちに、劉パパがやってきた。

 

劉パパはいつも優しいのだ。

 

が、その日は恐ろしい顔つきで現れた。

 

「俺も殴ったことない大事な娘を殴ったやつの顔が見たいと思ってきてみたらなんだそのザマはこのクソガキ!」

 

とのっけからぶっぱなす迫力に私のほうはやっと泣き止んだのにまた泣きそうになってしまった。

 

怖いよ。

 

劉パパは私が怖がってるのがわかったのか、部屋から出て話すことにしたらしい。

 

その間私は王ちゃんと一緒に王ちゃんのパパの事務所に行ってしばらく王ちゃんのパパと王ちゃんのパパの同僚と王ちゃんとお話をしていた。

 

劉ちゃんは病院に行って検査を受けることになって、この検査で異常があった場合には梅くんは警察に突き出されることになった。

 

そして、この病院から帰ってきた劉ちゃんの口から私はさらに恐ろしい真相を知らされる羽目になる。

 

「先生、あのね。梅くんは3日前に退学処分になってたんだって。」

 

劉ちゃんに言わせれば、私たちが梅くんの態度の悪さを告発した次の日に、退学処分になってたらしい。

 

電話でボスから、

「授業態度が悪いし周りの学生に悪影響を及ぼすので以後来ないでくれ。留学の斡旋も出来ない」

と言い渡された梅くんは、こう考えた。

 

一度も授業を見にきたことがないボスが、どうして自分の授業態度を知り得たのか。

 

誰が、裏切ったのか。

 

そして、自分と1番関係が悪く、1番ボスと関係の深い劉ちゃんに目をつけたのだ。

 

退学になった3日前。

私や他の学生が自分の退学処分のことを知らないことを確かめた梅くんは、その次の日も平然とした顔で授業にやってきた。

 

虎視眈々と劉ちゃんに復讐する機会を狙って。

 

そして、その日。

劉ちゃんを殴るためにいつものように授業を受けた後、ゲームに参加し、劉ちゃんがおこるように挑発して、劉ちゃんが

 

「あんたさっきから暴言ばっかり吐いてるけど、なんなの?何がしたいの!?」

 

とりゅうちゃんが言った途端。

 

「俺がしたいことはこういうことだ。」

 

と言って顔面を殴った。

 

だからこれは、衝動的とかそういう問題じゃなくて完全なる計画的犯行だったわけだ。

 

その執念に背筋を凍らせる私に劉ちゃんはさらにもう一つ爆弾を投げつけた。

 

梅くんはもともと韓国に一年留学していたのに、韓国で大学に行く前に韓国から舞い戻った。

この辺の事情はここに書いてある。

 

ああ、この記事を書いてるころはこんなことになるなんて夢にも思わなかったぜ…。

 

まあそんなことは置いといて。

 

梅くんが韓国から戻った理由は韓国語の成績不振だと考えていた私たちだったけど、梅くんが韓国から舞い戻った本当の理由は、

 

彼女持ち韓国人に手を出して韓国人の男を怒らせ殴り合いをしてしまい、強制送還になった。

 

というものだった。

 

いや、お前。

まじお前。

 

常習犯かよ。

 

なんだかなあ。

 

てかなんでそんな危なすぎる事故物件をボスは連れてきたんだ?

 

その夜はなんだか疲れ果ててしまって。

特に頭が痛くなってしまった。

こんなに中国語を話した1日はこれまでになかったし、

こんなわけのわからん事件に巻き込まれたこともなかった。

 

その夜私は夢を見た。

6月のある日、劉ちゃんと梅くんと3人で映画を見に行った。

イタリア映画を中国語の字幕で3人で見た。

 

ポップコーンを食べながら、3人しかお客がいない上映だったから、感想を言い合いながら見たんだ。

 

あの時。あの瞬間はもう二度と帰ってこないのだ。

 

関係は切れてしまったんだ。

 

梅くんはわたしが初めて関係を切った中国人となった

梅くんと連絡を取るということは劉ちゃんを裏切ることになる。

なんにせよ彼は無抵抗の女性を殴ったんだから悪いのは間違いないんだし。

劉ちゃんと喧嘩することは、今の立場とかここでの信頼とかそういうの全てを失うことになる。

じゃあ、劉ちゃんと梅くんを天秤にかけた時、圧倒的に私の天秤は劉ちゃんに傾く。

 

 

だから私は大量に送られてくる梅くんの悲痛なwechatに返信はできない。

 

この先、中国でいきていくにせよ、日本で生きていくにせよ、こういうことが何度だってあるんだと思う。

 

それでも、私の天秤は少しだけまだ梅くん側にも傾いているんだ。

 

それはなぜ?

 

それはまだまだ今回書ききれていない後日のこと、梅くんのお家のことが関わってくるんだけど、そろそろ五千文字を超えるから今日はこの辺でサヨナラしましょう。

 

ではではみなさんおやすみなさい。